新規事業立ち上げにおけるPdMの重要取り組みポイント6選 ~HRBrainの文化になぞって解説~

こんにちは、HRBrainでPdMをしている近藤です。

簡単に自己紹介をすると、 一浪、大学、大学院と、7年間の大学(浪人含む)生活を送り、新卒で入った高級家具メーカーで主にtoC販売を経験し、予定外の妊娠出産により退社、3年のブランクを経てShopifyを取り扱うECサイト受託開発会社でWEBデザイナーからプロジェクトマネージャーを経験し、ご縁があって現在HRBrainでプロダクトマネージャー(以降略PdM)として働いています。

※歳の割に社会人経験短めですw

はじめに

HRBrainでは2020年の10月頃にPdMチームが発足し、現在はプロダクトオーナー(以降略PO)1名、PdM3名の4名体制で動いています。 弊社が提供しているサービスは大きくカテゴリに分けると「EX Intelligence」「タレントマネジメント」「人事評価」の3つになり、私はその中の「EX Intelligence」「人事評価」、あと部分的に外部連携を担当しています。

もう1名のPdMが「タレントマネジメント」、もう1名が新規事業開拓を担当しており、それらを横断でPOが見ている、と言った体制です。

先日PdMチームで相模湖に遊びに行ってきましたwith CTO

今日のお話は主に「EX Intelligence」というサービスの新規事業の立ち上げからリリース、その後の1→現在に至るまで、事業部/チームとしての編成や動きなどを含め、振り返りがてらPdMとしての重要取り組みポイントをまとめていきたいと思います。

PdMとして現在働かれている方、PdMに興味がある方、ビジネスサイドと開発サイドの関わり方などに興味のある方、プロダクトデザイナーの方などに読んでいただけたら少しはインサイトがあるかもしれませんし、私が嬉しいです。(もちろんそれ以外の方も!!!)

新規事業 EX Intelligenceの成り立ち

弊社代表からの鶴の一声で始まった新規事業ですが、それは昨年の3月頃、別の新規サービスのリリース直前のものすごくバタバタしてた時期に降ってきた大きな話でした。

大きな方向性を示してもらいつつ、では具体的にどんなことを表現できたら良いのか?ということを色んな資料などを漁ってみたりして、PO、プロフェッショナルサービス(以降略PS)のメンバーと話をしていました。EXチームの走りです。

私は触りだけ入って、その後再招集され、改めてPdMとして関わることになりました。

簡単にEX Intelligenceサービスについてご説明すると、EX(Employee Experience)即ち「従業員体験」という、「会社に入社してから退職するまでのライフサイクル全ての体験」を、重要なタッチポイント毎に「期待値」と「実感値」で測り、適切に診断・可視化をすることで、組織的な課題と個人の課題に対してアクションを行うことができる組織診断サーベイとして提供しています。 このサイクルを回すことで従業員の体験を向上させていくことを目的としたサービスになっています。

EXチームの体制とその中でのPdMとしての動き

今までの弊社のプロダクト開発体制は基本的にPdM+テックリード+デザイナーで、必要に応じてCEOの堀に当てながら進める、と言った形をとっており、また適宜社内のCSや知見のあるメンバー、既存顧客などにヒアリングをして仕様を詰めていました。

EXチームに関しては、最初3人時々CEOとCTOみたいな体制だったところ、弊社の若手ホープ(元々コンサル→セールス→エンプラセールスと着々と実績を積んできた)吉田が事業責任者として参画し、事業側の一式を責任を持って巻き取り推進し、マーケからIS、セールス、CS、PS、そして開発まで、それぞれのチームからEX専任担当を抜擢し、HRBrain初の領域横断チームが発足しました。

EXチーム合宿

前置きが長くなりましたが、そんな中で私がチームにジョイン後にまず行ったことが重要取り組みポイントの一つ目になります。

⭐️1つ目のポイント⭐️はこちら👇

⭐️ポイント1:ビジネス側と開発側の接続⭐️

当時から毎日開発チームは定例mtgを行っており、ビジネス側ともしっかりとコミュニケーションがとれているようにも見えましたが、実は開発チームで思っていたこととビジネス側が考えていたことにズレがあったり、情報が適切に降りてきてなかったり、といったことがまま発生していたのです。

まずそこを適切に繋ぎ込むため、ビジネス側からの情報は全て私に集約してもらうようにし、その情報はアツアツのうちに開発に落として議論する、といったことを定常的に行うようにしました。

この取り組みは前期の振り返り時にチームのみんなからも「近藤さんがきてBizとDevが繋がった」と褒めて頂けた点でした。昨年もらった中で一番嬉しかった言葉です。

次に⭐️2つ目のポイント⭐️はこちら👇

⭐️ポイント2:猛烈インプット⭐️

当たり前なのですが、みんなに追いつかないといけないですから。 まずは現状各々がどんなことを考えどのようなアウトプットを行っているのか理解するため、商談動画を見たり、日々のデザインや仕様策定の流れでどうしてそうなったのか?と、それが業務のフローとして適切なのか?を照らし合わせながら議論をして理解を深めていきました。

(毎回なんで?を聞かれてうざかっただろうなぁw)

インプットの質を上げる大きな鍵となったのは、外部アドバイザーとしてジョインしてくださったピープルアナリティクスの最先端をいく人事の方との定例mtgをいれてからでした。

疑問に思っていること、悩んでいること、ある程度の仮説を持ち毎週議論を重ねていくことで、顧客課題の解像度がぐんと上がったと思います。

具体的なアジェンダの一例として、

・サーベイというものについての人事としての想い

・EX(エンプロイーエクスペリエンス)の捉え方

上記の様な大きな視点でのお話から、

・〇〇の機能UIへのフィードバックをいただく

こういった点の話、また、一緒に業務としてのストーリーマッピングを作成させていただいたり、他の企業様の人事の方達を招いてもらい、特定の議題に対しての意見交換会を開かせていただいたりしました。

Figjamでのストーリーマッピング。どの部分で課題を感じているのかを可視化しました。

一つ失敗談としては、これらのものも含めドキュメント化がしっかりとされていなかったので、そこへのテコ入れを行うことを自らの責務として課していたのですが、これはとても失敗に終わりました。。

日々ディスカッションし、日々仕様がかわっていくのでドキュメントの運用コストを取らず、スピードを重視した為途中で結局追いつかなくなり投げてしまったという背景です。 猛烈に反省ポイントですね。。

ただその後デザイナーの安藤がデザインを上げる際に一緒に書いてくれたり、メモを取ってくれるようになったので甘えさせてもらってますが、今後も個人的に課題なので頑張りたいと思います。 この辺のドキュメント運用についてナレッジがある方いらっしゃれば是非秘訣を教えてください。

EXチーム内での情報交換の方法について

猛烈インプットをした後、日々のコミュニケーションの中で、何がいつまでにできるか?と言ったコミュニケーションを頻繁に行われるようになってきました。

そこで、実際に機能としてどんな順番で誰に対して何の価値を届けていきたいのか、足下1年間くらいの中期的な視点で営業側(開発も含め)との認識を揃える必要があると感じたため行ったことが

⭐️3つ目のポイント⭐️です👇

⭐️ポイント3:ロードマップの作成⭐️

一番最初に作成したもの

ちょっとUIイケテナイのは置いておき、とりあえず可視化するというところに重点を置き、この時点でこんな機能を作っていきますよ〜という共通認識を作るために作成しました。

こちらの資料に記載した機能は、順番を入れ替えたり無くしたり追加したり、主に事業責任者とPSとの会話、あとはアドバイザーの方へのヒアリングなどを元に最初の頃は週次で内容を見直して常にアップデートをかけていました。

現状2022/7時点での最新版

どの時点で誰に対して価値を届けるのか、どんな業務のストーリーの中でプロダクトを使ってもらいたいのかなど、ターゲットを明確にできたのも営業側との認識合わせに効果的だったと思います。

さらに開発としても「何を作るか」というところで全体共通認識持つことによって今「やるべきこと」、今「やらなくて良いこと」を明確にできたかなと思います。

次に ⭐️4つ目のポイント⭐️です👇

⭐️ポイント4:開発側の目線を常に高く保てる状態を提供する⭐️

これに関してはPdM起因で始めたというより他の人の声などから必然的に始まった、というべきでもあります。全て私が整えた訳ではなく色々な方のアイディアや取り組みの結果ですね。

まず前提として⭐️ポイント1⭐️でお伝えしたように、既にビジネス側と開発側は接続されている状態である、という上で、そのままのやり方では先がスケールしない(私が大変w な)チームになってしまうと思っています。

EXチーム全体では、今は週次で全員(10名越え)が集まり、KPTを報告する会を開いています。 ここで営業側で発生している問題や、顧客からの声を全員で認識合わせ、また開発側の進捗状況などを伝えたりしています。

この定例とは別で、開発チームと事業責任者、PSの6名でBiz Dev Sync Mtg(ビジネスx開発 mtg)を始め、直近商談から上がってきている声や開発側で考えていることの意見交換、そしてロードマップや各機能の方針の認識合わせと決定を行っていたりします。

重要なのは、今市場や顧客が求めているものをPdMだけが知っている状態で、それを伝言で聞くのではなく、一人ひとりが直接声を聞いて知る、ということだと考えています。

そして一人ひとりが視座を上げ、常に目線を高く保てる、それができる環境を常に提供していくことが重要なのかなと思っています。

EX開発チームは毎日30分〜1時間の朝会を開いており、そこで進捗共有と、前日にあったトピックスの共有や、今各々が考えていること、デザインの相談などをして、さらには実際の仕様の策定をその場で行ってしまう、と言ったことを毎日行なっています。

前述した取り組みのおかげもあってか、その議論の場では「顧客がどう言ったことをしたくてこの機能を使うのか?」ということから、「であればこんな流れでできた方が良いよね、こんな立て付けにした方が良いよね」、と、PdM、デザイナー、エンジニアみんなで議論を繰り広げています。

昨年新卒で入った村崎くんも今では立派に議論に入ってくれていて、どんどん頼もしくなっています。

また別の観点では、弊社ではSlackをフル活用してますが、様々なチャンネルが作られており、常に社内から何かしらのアウトプットが挙げられています。

誰でも投稿、情報収集できる状態になっていますし、Biz Dev関係なくチャットベースでも常に活発に議論が繰り広げられています。

例:

#ex-idea : 事業としてのアイディアを書き込むチャンネル
#pj-esg-hc : ESG・人的資本(human capital)に関するインプット・アウトプットのチャンネル

EXチームで使われているslackのchannel一覧

ところでHRBrainで良いとされるチームの動きってどんなものなの?

ここが⭐️5つ目のポイント⭐️になります👇

⭐️ポイント5:HRBrainのValueを意識した動きを日々行う⭐️

そもそも弊社で言う良いチームの動きってどんなものか?というところなのですが、 弊社ではパーパス、ミッション、バリューが今年4月に満を辞して改定されました。 良いチームとされるのは、valueに即した動きが出来ていること、これに尽きると思っています。

Power to the People

というパーパス、

SaaS革命を牽引する

というMissionの元、弊社のvalueは以下3つ。

Intensity

永遠のβ版を提供するSaaS企業において、変化し続ける顧客の課題を「速く・最適に」解決することは最高のカスタマーサクセス。「速さ」は最適解を手繰り寄せ、圧倒的に顧客に優しく競合に強い。

Take Ownership

喜びや課題、メンバーの成長まで自分事化。プロとしての高い当事者意識と最後の砦の意識を。スタートアップマインドを体現し続ける、自立駆動したプロの集団に。

Power to the team

行動が伴わない評論やネガティブが蔓延すると圧倒的にスピードダウン。いつだって決断と行動こそが成長の原動力。良いときも悪い時もポジティブにエンパワーメントしあうことができる集団に。

簡単に言えば、

ボールは自分で取りに行く。取ったボールは責任を持って推進し、部署関係なく巻き込むべき人を最適に巻き込み、一丸となってとにかく早い決断とアウトプットを行う

その過程で起きる良い連鎖によって、チーム全体、そして会社全体で意識と行動の底上げしてこうぜ!

ということだと、私は理解しています。

ではPdMとして何が出来るのか?何をすべきなのか? そう考えたときに、私が心がけた(今も心掛けている)のは

「顧客の本質的な課題理解」

「最小の工数で最大の価値が届けられるものを、筋良く早く決める」

です。更にそこに

「他にはないバリュープロポジションの付与」

を最近はよくよく考えるようにしています。

1つ目の心がけですが、ここが正にインテンシティ(速さ)に繋がる部分で、課題を適切に理解しているから仕様を素早く決めることができる、と実感しているためです。

2つ目の心がけは、HRBrainで重要視されているのが、「如何に小さくリリース出来るか?」というところなので、とにかく1stリリース時点では最高のミニマムであること、が神とされています。 なのでそのMVPはどこ?をとにかく小さく、小さく、小さく、考えることを心がけています。

EXの開発では、まさにアジャイル開発の体現が出来たのではないかなと思っており、まずは小さく出す、そこから顧客に当てて、方針の修正、機能追加があれば適宜対応していくという形をとっていました。

3つ目の心がけは、PdMのミッションとしてはやはりクールでイケてるプロダクトを作らなければいけないと思っていますし、それが顧客にとっても社内の人たちにとってもワクワクできるもの、課題が解決できるものであるべきだと考えています。

なのでここ最近は如何にEXというプロダクトの価値を最大化出来るか?ということと、顧客でもわかっていない潜在的課題ってなんだろう?を、大きな思考の軸として持つようにしています。

これらを踏まえ、4つ目の重要ポイントとしてあげさせてもらったものはどちらかというと社内に向けて重要と考えているものです。

valueを体現した動きをするということは、会社の文化を形成していく上で重要ですし、それをチーム全体としてしっかり体現できていると証明することはEXチーム全体の評価を上げることでもあると考えているためです。

余談ですが、今年2022年4月にvalueが改定され、そのバリューを最も体現できたMVT(Most Valiable Talent)を毎月一名選出するという取り組みが4月から人事主導で始まったのですが、なんと記念すべき第一回目のインテンシティ部門でMVTを取らせていただきました!うれしい!!!

プロダクトデザイナーの重要性

先日ある開発のために全社向けにアンケートを配信し、データを集めさせていただいたのですが、その際に最後の設問でEXチームに一言ください!というものを設けたところ、他の部門やチームの皆さんからも「EXチームはインテンシティが高い!」「開発が早い!」などの言葉をたくさん頂きました。

MVTをいただいたこともあり、インテンシティの高さは個人に寄りがち?と思うかもしれないのですが、インテンシティの高さの体現というのは、個人的にはチーム全員がその要素が高くないと体現が難しいなぁと感じています。

例えば開発であれば、機能のリリースを爆速で行うためにはエンジニアが素早く動ける状態を作る必要があり、その為にはデザインがストックされている状態が必要で、そのデザインを作るための情報と業務・課題の整理と理解がされているべきですね。

(この理解というのは、エンジニアから質問が来たときにも「なぜならこうだから」をきちんと説明するためにもとっても重要です)

このように、それぞれの役割でそれぞれが素早く物事を進めることが必要なので、例えば私1人だけ顧客解像度が高くても、他の人が同じ理解レベルじゃない限り、インテンシティの体現は難しい、と思うのです。

さて本題に入りますが、私はサービスを提供していくに当たって、プロダクトデザイナーという役割がめっちゃくちゃ大事だと思っています。 理由は様々ですが、大きくは以下3点です。

  1. 顧客がHRBrainとして認識する、触れる部分を構築できる人であること

  2. デザインの力は体験を作る上で超重要且つ偉大であるということ

  3. どんな叩きの状態でも、デザインが作られていることで様々な決断が早められるということ

1つ目2つ目は説明しなくても皆さんわかるかなと思うので割愛します。

3つ目のところを深掘りしたいのですが、これは先程から言っている開発チームとしてのインテンシティの高さにダイレクトに影響すると考えていて、何故なら、何かを議論する際に目に見えるものがあるのと無いのとでは、その決断に至るまでのスピードには雲泥の差があるからです。(みなさんもよく体験してるのでないかなと思いますが。)

やはりどんな形でも、目に見える仮説ベースのデザインがそこに存在することでより議論も決断までのスピードも深く早くなり、抜け漏れも減ってきます。

そしてこの仮説ベースのデザインを出すには、デザイナーとPdMは基本的に顧客の業務・課題に対しては同じレベルで理解、共有されていることがベストだと思っています。

ここが、重要取り組みポイント最後の ⭐️6つ目のポイント⭐️になります。👇

⭐️ポイント6:PdMとデザイナーがニコイチで思考を共有できている状態を作る⭐️

この状態を作るために、先にお話しした人事へのヒアリングはもちろん一緒に参加しますし、未来のことをディスカッションする場にも基本的には一緒にいてもらっています。

会社での物理での席も隣同士にしてもらっているのでちょっと疑問があったときなどはすぐにお互い話しかけられるような環境も設けています。

上記のような点が、EXチームのデザイナーの安藤との間ではしっかりと共有出来ていることが、お互い安心感とスピード感を持って、高い視点で議論を進められる大きな要因になっているのではないかなと感じています。(と、私は思っていますw)

重要取り組みポイントまとめ

この一年を振り返りつつまとめさせていただきましたが、自分自身の成長も少し感じられる良い機会になりました。 ただやっぱりひとつだけ強めにお伝えしたい!

私が成長できたなぁと感じられること自体、周りのメンバーの協力と支えなくして無理なのです。 個人的に私と関わって頂いているすべてのメンバーに私は全幅の信頼を置いているので、そんな素晴らしいメンバーと働けて本当に幸せだなあと日々痛感している毎日です。

最後に、重要取り組みポイントを時系列で整理すると以下でした。

1. ビジネス側と開発側の接続

2. 猛烈インプット

3. ロードマップを作成する

4. 開発側の目線を常に高く保てる状態を提供する

5. HRBrainのValueを意識した動きを日々行う

6. PdMとデザイナーがニコイチで思考を共有できている状態を作る

とは言いつつも、プロダクトとしてもまだまだこれからなフェーズですし、PdMとしてまだまだやりたいこと、出来ていない事は山のようにあり、様々な課題を感じている部分もたくさんあったりします。 何が正解か分からない中でもがくのは辛くもありますがとっても楽しい!と個人的には思っていて、一緒にもがいてくれる方がもっと沢山増えたら嬉しいなあと思う今日この頃です。w

弊社のメンバーは、改善思考と推進思考が強く、日夜最高のサービスを提供すべくPower to the teamで邁進しています。

HRBrain、そして弊社の開発組織(PdM、デザイナー、エンジニア)に興味を持っていただけたら、是非カジュアルにでもお話しましょう!