はじめに
こんにちは。 Development Officeのマネージャー兼エンジニアリングマネージャーをしている柳川です。
Development Officeとは何か、興味のある方はぜひ以下のインタビュー記事をご覧ください。
さて、今回のこの記事で扱う内容は、昨年末に労務プロダクトチームのPdMである齊藤さんから依頼されて実施した
「インセプションデッキ作成のワークショップ設計とファシリテーションの実践方法」
となります。
PdM齊藤さんの記事はこちら
この記事を読んで、実際にやってみたい方のお力になることができたら幸いです。
インセプションデッキとは?
アジャイルサムライで紹介されている、プロダクトの全体像を端的に捉えるためのフレームワークです。
11枚のスライドがテンプレートとして用意されています。
アジャイルサムライのサポートページでスライドは配布されています。
https://github.com/agile-samurai-ja/support/tree/master/blank-inception-deck
- 我々はなぜここにいるのか?
- エレベーターピッチ
- パッケージデザイン
- やらないことリスト
- プロジェクトコミュニティ
- 技術的な解決策の概要
- 夜も眠れなくなるような問題はなんだろう?
- 俺たちの"Aチーム"
- 期間を見極める
- トレードオフ・スライダー
- 初回のリリースに必要なもの
これらのスライドを作成することで、プロダクトのビジネス価値やビジョンが明確になり、開発チームを取り巻く人・技術・計画という観点での全体像の把握と課題発見が可能となるため、プロダクト開発のスタートラインに立つことができると言えます。
ワークショップ開催の目的
今回、ワークショップを開催するにあたって、目的を2つに絞りました。
1. チームメンバーとの関係性構築
チームでの役割上普段話すことの少ないメンバーや新しくジョインしたメンバーの、人となりや仕事に対する思いを知り、普段からコミュニケーションの取りやすい状態を作ることを目的としました。
そのため、今回は話しやすい空気を醸成しやすい少人数でのグループワークを取り入れています。
2. プロダクトの目指している方向性を明らかにし、認識を揃えること
こちらは、インセプションデッキの「我々はなぜここにいるのか?」「エレベーターピッチ」の2枚のスライドを完成させることを今回のゴールとしました。
ワークショップの進め方
今回のワークショップは、開発ビジネス含めたメンバー12名(ファシリテーターの私を含む)で、5時間ほどの時間を使って開催しました。
「俺たちの”Aチーム”」
このワークのファシリテートは、主催者であるPdM齊藤さんにお任せしました。 チームメンバーがチームでの自身の役割を説明しながら、話し合いの場を温めてもらいました。
「我々はなぜここにいるのか?」
このワークでは、以下のような問いかけの答えを見つけていきます。
- 私たちは何のためのプロダクトを作っている?
- 何のためのチームを組んでいる?
- 私たちの顧客って誰?
- そもそもこのプロダクトの始まりって何?
ワークは以下の手順で進めます。
チーム分けは、普段あまり会話していないようなメンバーと意図的に組むことが大切です。 そのため、事前にPdM齊藤さんと相談してチームを決めました。
ここでのファシリテーションの大切なポイントは、どの意見も基本的には正であると捉えることです。一見対立するような意見が出ることがあっても、視点を変えるとどの意見も一理あることがほとんどです。 そういった意見をその場にいる全員が認め合い、さまざまな意見の中に内在する共通項を見つけていく手助けをすることが大切です。 労務プロダクトチームでは、最終的に2つの大事な理由をメンバーみんなで納得して決めることができました。 フォーマットにこだわり過ぎず、みんなが納得いく結果を生み出すことも重要です。
「エレベーターピッチ」
エレベーターピッチでは、30秒以内にプロダクトのアピールをするという設定で、以下のフォーマットに沿ったセンテンスを落とし込んでいきます。
「潜在的なニーズを満たしたり、潜在的な課題を解決したり」したい 「対象顧客」向けの、 「プロダクト名」というプロダクトは、 「プロダクトのカテゴリー」です。 これは、「重要な利点、対価に見合う説得力のある理由」ができ、 「代替手段となるプロダクト」とは違って、 「差別化の決定的な特徴」が備わっている。
ワークは以下の手順で進めます。
今回は文章の一部分を切り出して案出しする形のため、他チームが前後どのような文章を持ってくるのか想像しながら自分たちの案を決めていかなければなりません。 難易度は高いですが、その分話し合い自体は活性化しやすくなります。 このワークのチーム分けでも、普段あまり会話していないようなメンバーと意図的に組んでもらうため、先ほどのチーム分けとはまた違うメンバーで構成しました。
バラバラに集めた材料でまとめるのですが、今までの経験上ではここであまりにも整合性のとれていない文章になることはほとんどありません。 それは「我々はなぜここにいるのか」のワークを事前に行なっていることで、プロダクトに対する認識の土台ができているためです。 ただ、細かい文章の違和感をなくし、より良いエレベーターピッチにしていくためにチームメンバーで時間を費やすことに意味があるので、ファシリテーターはあえて疑問を投げかけたりして議論を誘発することが必要となります。 労務プロダクトチームでも一度固まってきたら、誰かに声に出して読み上げてもらい、そこで感じた違和感を潰し、を何度も繰り返して最終的な成果物へと導いていきました。
最後に
インセプションデッキに限らずですが、私がワークショップを設計/ファシリテーションする時には、以下のことを大切にしています。
- ワークの目的を明確にすること
- 目的に沿ったワークを設計すること
- 議論を誘う問いかけをすること
- 置いてきぼりの人を作らないこと
- 必要な議論はし尽くすべきというスタンスを明確にし、時間に捉われずに議論できるように場の設計をすること
- 目に見える成果物をアウトプットすること
この記事が、インセプションデッキ作成や、ワークショップ設計 / ファシリテーションをしてみたいと思っている方のお力になれば幸いです! ぜひトライしてみてください!