プロダクト開発を先に進める「横軸フロントEM」という仕事

こんにちは!開発チームでエンジニアマネジャーをしている阿部です。

qiita.com

アドベントカレンダーも20日目まで来ましたね!
今日は、自分がやっている仕事「横軸のフロントEM」について紹介します。

横軸フロントEMとは?

HRBrainの開発組織はプロダクトごとにチーム分けされていて、それぞれのチームがスクラムを使って開発をすすめています。そのためフロントエンジニアも各チームに所属していて、さまざまな職種の人と一緒に開発をしています。

これに対して、同じ職種に所属するメンバーがチームを越えてつながる機会を作るものが「横軸」です。横軸についてはさまざまな形がありますが、HRBrainではアジャイルな開発フローに基づいた組織が作られているため、ギルド的な立ち位置に近くアジャイルな開発組織とともに成長していける横軸組織を考えています。 今回はこの「横軸組織」を中心としたお話です。

ちなみに「横軸フロントEM」という名前は今回のために勝手につけているだけです。今回は「横軸」が大事になるので、ブログの中では積極的に「横軸EM」と名乗っていこうと思います。笑

ギルド的な組織に求められるものは組織のフェーズや規模によって様々だと思いますが、現在のHRBrainに必要なものとして、以下が考えられると思います。

  • 各チームに所属するフロントエンジニアの成果や評価の標準化と、開発組織全体としての成長のサポート
  • 各チームで行っている技術的なチャレンジを組織全体に拡げる
  • フロントエンドエンジニアのチームを越えた関係性づくり
  • プロダクトの成長にコミットできる組織づくりと、採用

今回のブログではこの中からいくつかピックアップして書いていこうと思います。

メンバーの成長サポートと評価・対話

先ほども書いたとおり弊社ではスクラム開発が浸透しているため、開発チームのメンバーはチームリーダーと面談をしながら目標設定やふりかえりをしていきますが、フロントエンドエンジニアについては横軸のフロントEMも関わって評価やサポートを行っています。気をつけているポイントは、「キャリアの方向性」と「モチベーション」の2つです。

フロントエンドは流れが速く、エンジニアに求められることが急激に変化しています。そのため、話をするたびにやりたいことが変わったり、専門とする分野が別のものに移り変わっていくことは当たり前のことだと思っています。社内のフロントメンバーについてもその状況は変わらないと思っているので、チームの枠を越えてEMが定期的に面談を行いながら、中長期的に成し遂げたいことについてヒアリングし、メンバーそれぞれのキャリアイメージをアップデートしていくことが大切だと思っています。さらにはそのイメージに少しでも近づけられるような環境へ実際にアサインしていくことが大切で、そこまで行うことで本人のモチベーションが高い状態をキープできると思います。

とはいってもこの話は理想論に近く、うまくできないことばかりで課題だらけです。さらにアサインとなると事業戦略の兼ね合いもあるため全員が100%希望通りになるわけではありません。しかしだからこそ横軸からメンバーと対話し、直近のやらなければならないことから少し離れた場で中長期的なビジョンを確認して、今ここからビジョンまでのルートを可視化することで、目の前の仕事についても納得感を持って向き合えるのではないかと考えています。

このような対話を可能にするためには、まずは自分自身が社内外を問わずフロントの状況をリサーチしておくことが大切です。リサーチをしたうえでメンバーと対話していくことで、業界がこれから向かおうとしている方向性と個人の成長と会社の成長とがうまく両立できるような環境が探し出せるようになると感じています。また、スタートアップでは事業計画の大幅な方針変更もよくあることです。そういう時にも、常日頃からメンバーのキャリアについて一緒に考えておけば、急なチームへのアサインについても臨機応変に考えていけるとではないかと思っています。

採用のこと

採用はEMの仕事の中でも最重要なものです。HRBrainではエンジニアの採用はエンジニア主体で行っていますが、チームを中心に開発が動いているため、エンジニア的な視点とチーム視点の両方が重要になっています。そのため、チームの中でモチベーションを持って働けるかどうかという視点と、フロントエンド的な視点の2つが判断するうえで重要な視点となります。

フロントエンドエンジニアとひとことで言っても様々なタイプの方がいます。フロントのことはフロントメンバーがいちばんよく知っているので、事前資料や前の面談結果をもとにふさわしいと思われるエンジニアを次の面談にアサインし、面談してもらうようにしています。そのあたりの相性の見極めも横軸EMとして重要な仕事だと考えています。 弊社は複数のプロダクトがグロースフェーズにさしかかり、これからはさらに多彩な能力を持ったフロントエンドエンジニアの力が必要になります。プロダクトファーストな開発をこれからもさらに推進していくために、「技術を使ってプロダクトを作りながら、課題解決をしていく」ことを得意とするフロントエンドエンジニアさんの力が必要です!!

ほかにも

  • アクセシビリティが得意なフロントエンドエンジニア
  • デザインやUXの知見があるフロントエンドエンジニア
  • プロダクトをグロースさせていく視点を持ったフロントエンドエンジニア

このブログを読んでいる方で上記にピンときた方がいたら、ぜひご連絡くださいませ!

最近はweb回帰の流れを受けて、フロントの採用はさらに難しくなっていると感じています。採用を強化することはもちろんですが、いい組織やチームカルチャーを作り、フロントのエンジニアがワクワクして長く働いていただけるような環境を作っていくことも重要だと考えています。

フロントエンドのコミュニティをそだてる

フロントエンド業界は幅が広くスピードも速いため、ひとりですべてをカバーしようと思ってもなかなか大変です。そのため弊社ではチームを横断して「フロントトーク」という共有会を行っています。フロントメンバーが日々興味を持ってキャッチアップしていることを、週に1度集まって共有しあう会です。

この取り組みが始まって1年ほどになりますが、さまざまなアップデートを経て、「社内のフロントの状況や改善点については話さず、社外のニュースについてだけ話す」というコンセプトに落ち着きました。実際に、このコンセプトでのトークになってからアジェンダも増えてきて、毎回すごく盛り上がっています。またこの場では社内のことを話さないため、参加者がフラットに話せる(社内のプロダクトだと、誰かが当事者となってしまうため話がうまく続かないことがある)という利点もあることに気づきました。

たくさんのところで言われていることですが、横軸組織として重要なことのひとつが「コミュニティ」です。ギルド組織について言われるときに例示される会社に比べると弊社の規模はものすごく小さいですが、今のうちからコミュニティを作り育てていくことは特にフロントエンドの技術向上という側面からは重要なことだと考えています。 また、現在はフロントエンド技術に特化したキャッチアップの仕組みしかありませんが、フロントエンドエンジニアの中にはUI/UXやプロダクトのほうに関心がある方もいます。言うまでもありませんが、saasにおいて大切なのは技術だけではなく、グロースの視点やプロダクトデザインの視点などを総合的に使ったプロダクト開発力だと思っています。今後はそれらの領域についても、個人のナレッジが組織内でうまく流れる仕組みを考えていくことがチャレンジとなると思います。

採用のところに書いたこととも繋がりますが、フロントメンバーひとりひとりのスキルにばらつきがあるのをポジティブなことと捉えています。また、情報のキャッチアップには得意/不得意さが関わってくると思っているので、最新情報の把握は個人で行うものではなく組織で行うものであると思っています。まずは組織全体でフロントのトレンドが一通りキャッチアップできている状態を作ることが大切だと思っているので、フロントトークのブラッシュアップも含め、メンバーとともに他のとりくみも考えていき、コミュニティを育てていきたいと考えています。

おわりに——リモートワークで自走する組織のフロントに必要なもの

横軸組織としての話を書いてきましたが、これからやりたいこととして

  • フロントのコードを書く人はバックエンド・デザイナーなど関係なく誰でも支援し技術が向上できて、適切に評価できる仕組みづくり
  • 負債の解消 - packageのアップデートやシステム刷新などを、チーム主導でやりつつも他のチームのナレッジにもなるようにすすめていく
  • チーム横断でのモブプロやペアプロなどの取り組み
  • デザイン組織とのやりとりの強化

が課題になっています。このあたりについては2021年に取り組みを行ってみて、また機会を改めて報告できればと思います。

フロントは流れが速いので、個人のモチベーションややる気に依存している部分があると思います。でもそれが悪いことだとは思っていません。自分のキャリアと会社の成長との交差点の環境を作り、メンバーがモチベーション高くコミットできる環境を作ることが大切ですし、その環境を作ることがEMの役割だと思っています。
ベンチャーの成長スピードが高い環境の中で、会社の成長と自分の成長を両立させながら良いプロダクトを作っていきたいと考えているフロントのみなさん、ぜひ力を貸してください。一緒にいいものを作りましょう!

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