私のしごと「スクラムマスター」について

こんにちは。スクラムマスターの柳川(yue)です。
この記事はHRBrainアドベントカレンダー21日目の記事となります。

qiita.com

初めてのアドベントカレンダーにドキドキしています。

11月末に弊社manoさんが、
「アドベントカレンダーやるって言ったら誰か執筆してくれる人います?」
というなんとも遠慮がちな提案をしてくれまして、軽い気持ちでやるやる〜と言ったものの、今キーボードを打ちながらもこの先何を書くか決まっていない私です。

しかし21日目に至るまで空白の日もなくこのカレンダーが埋められていることは感動ひとしおです。
だってアドベントカレンダーできるくらい人が増えたってことだもの!
入社した時から開発チームの採用にはプライオリティー高くずっと関わらせてもらっている身として、こんなに嬉しいことはないですね。

さて、これを読んでる方は今もしかしたら
「え?スクラムマスターなのに採用のプライオリティーが高い?」
「スクラムマスターの仕事ってそんなだっけ?」
と思われたかもしれません。

私はスクラムマスターなのか、実のところそうではないのか、この混沌とした迷路を今から少し整理してみたいと思います。興味が湧いた方はぜひお付き合いください。(なんとなく書き始めたらテーマが決まってホッとしています)


スクラムマスターとは

スクラムマスターの役割は、スクラムガイド2017版では以下のように定義されています。

スクラムマスターは、スクラムガイドで定義されたスクラムの促進と支援に責任を持つ。スクラムマスターは、スクラムの理論・プラクティス・ルール・価値基準を全員に理解してもらえるように支援することで、その責任を果たす。
スクラムマスターは、スクラムチームのサーバントリーダーである(訳注:メンバーが成果を上げるために支援や奉仕をするリーダーのこと)。 スクラムマスターは、スクラムチームとやり取りをするときに役に立つこと/立たないことをスクラムチームの外部の人たちに理解してもらう。スクラムマスターは、こうしたやり取りに変化をもたらすことで、スクラムチームの作る価値を最大化する。
(スクラムガイド2017:https://www.scrumguides.org/docs/scrumguide/v2017/2017-Scrum-Guide-Japanese.pdf

※ 今年の11月にスクラムガイド2020版で、スクラムマスターの役割の表現が大きく変わりましたが、今までの考え方の話をしたいと思っているので、今回は2017版での認識の上で話を進めようと思います。
2020版については最後に少し触れることにします。


弊社ではアジャイル開発を目指していて、開発チームでは完璧とはいかないまでもスクラムのプロセスを採用して開発を進めています。
本格的にスクラムをスタートさせたのは去年の7月ごろ、HRBrainのスクラムの歴史はまだ1年半と浅いです。

スクラムスタート時に行なった勉強会の記事はこちら。
times.hrbrain.co.jp

まだこの頃は人数も少なかったんですよね〜。


HRBrain開発チームのスクラムの歴史は順風満帆なものではありませんでした。
スタート時点ですでにPOという大切なロールがひとつ不足していましたし、それまでの進め方がチームというより個人でタスクを進めていくような形だったので、チーム開発に慣れていく必要もありました。当初はスクラムイベントへの理解や進め方の工夫に試行錯誤していた記憶があります。

しかし、私個人の考え方としては、チームでアジャイル*1に開発していくことが達成できればスクラムのプロセスを完璧に行なう必要はないと考えていますし、チームメンバーが成果の出しやすいやり方を経験主義の中からチームで選択していくべきだと考えています。

そのため、HRBrainでスクラムが仮に死んでも、振り返り(レトロスペクティブ)の精神だけは残るようにと思ってチームにはアプローチしてきたつもりです。

現在は、スクラムを基盤としたチームそれぞれのプロセスで開発を進めてもらっています。(現在弊社では4つの開発チームがあります)
根底に「完璧なスクラムじゃなくてもいいよ〜(アジャイルは必須)」の気持ちがある私なので、スクラムの促進と支援というスクラムマスターの根幹の役割を完璧には全うできません。

しかし、サーバントリーダー(メンバーが成果を上げるために支援や奉仕をするリーダーのこと)としての役割は、必ず全うしたいという気持ちで常に仕事しています。
ちなみに、サーバントリーダーは部活のマネージャーみたいなものだと私自身は考えています。


HRBrainのスクラムマスター(つまり私)がやってること

アジャイル開発の支援

HRBrainでは、アジャイルにプロダクト開発を進めることを目指しています。

スクラムを導入した1年半前から価値のあるソフトウェアを早く継続的に提供することを目指してきましたが、今年10月からその動きを一層強めていくことを決めました。

アジャイルに開発することが顧客に対して価値が高いだけではなく、開発チームにとってもプロダクトをより顧客に価値の高いものにしていくという意識を強められる価値観だと考えたからです。

今はその支援に力を注いでいる真っ只中です。
スクラムを基盤として、各チームがやりやすいアジャイルな開発の仕方を、メンバーと話し合いながら模索しています。

経験上、これが最適解!という開発プロセスはなかなか見つからないですし、ある程度プロセスが回せるようになっても色々な課題が付きまといます。
ここで活きてくるのが振り返りなのです。

これからもチームで選択したプロセスを検査し続け、より良いものに変えていくことを根気強くやっていきたいと思っています。

採用

採用に関しては、最近は面接官として候補者の方に弊社で活躍してもらえるかどうかと、弊社の受け入れが可能かどうかを見させてもらう形で関わっていますが、半年くらい前までは選考管理や候補者さんとのメッセージのやりとりなど、開発メンバーの採用にはかなり深く関わっていました。

当たり前のことですが、チームを構成する要素は「人」です。その構成によってチームの成果が大きく変わることは明白です。そのため採用は、チームの成果を最大化する可能性を持ち合わせたメンバーにジョインしてもらうための、チーム支援だと考えています。

そのため、今後もできる限り採用には積極的に関わっていくつもりでいます。というか関わらないという選択肢はないです。

とにかくいろんなMTGに顔を出す

各チームのデイリースクラムやスクラムイベントにはできる限り参加するようにしています。チームが4チームあるので全てのイベントを網羅することは不可能ですが、チーム内の会話を聞けばある程度の課題は浅いところであれば把握できます。

そこから課題を深く理解するために、振り返りに参加したりメンバーと個々に対話したりして、TRYを導く手助けをしています。(最近では手助けが必要ないパターンの方が多いかも。メンバーのみなさんありがとうございます)

メンバーとの対話

私が仕事をしている上で1番大切にしていることです。チームやメンバー個人を支援させてもらう上で信頼関係は必須だと思っています。そのため、入社したばかりのメンバーとは対話の時間を多く設けさせてもらい、相手のことをたくさん知ることと、チームや私のことを知ってもらうことに努めています。

メンバーとの対話の中で、メンバーが抱える課題や不安を知ることになるのですが、必ずしもすぐに答えが見つかるようなことばかりではありません。話を聞くだけの日もあれば、一緒に迷路に迷い込むこともあるし、本当はもう見つかっているTRYを引っ張り出して背中を押すだけということもあります。
組織の課題として持ち帰ってマネージャーたちと話し合うこともありますが、基本的にはメンバーのチームでの成果につながるようなTRYを導き出せるように支援することを心がけています。

今年4月からフルリモートでの勤務体制となり、同じフロアで働いていた時のようにメンバーのコンディションを肌で感じて気軽に声をかけることができなくなったので、リモート開始初期は特に意識的にメンバーと対話することを心がけていました。

未来を想像する

メンバーやチームが抱える課題に対して、チームでの成果につながるようなTRYを導き出せるように支援することを心がけていると先述しましたが、そういった課題が組織の仕組みや体制、制度を変えることで解決する場合も大いにあります。
必要と判断すれば、柔軟に仕組みを変えることももちろん今までやってきたつもりではいますが、今すぐに変えることが難しい場合ももちろんあります。
そういった場合は近い将来や中長期的な未来図をメンバーに伝えたり、一緒に考えたりすることでメンバーの課題や不安が軽減する場合があります。

私は常にチームやHRBrainの未来のことを考えています。それは、チームのみんなと未来の話をするためです。そしてみんなで目指すべき未来に向かっていくためです。
高すぎる理想を考えすぎて自身の無力さに落ち込むこともありますし、起きないかもしれない問題を想像して闇堕ちしそうになることもあります。
傍目に見て、目の前の課題の解決の優先度を下げて未来を追いかけているように見えることがあるかもしれません。
しかし、みんなと一緒に今よりも少しでもより良い未来をつくるために、考えることをやめるつもりはありませんし、メンバーみんなと考えていきたいと思っています。

これはメンバーのみんなへのお願いですが、もしたまに私が闇落ちしてる時があったら、ぜひ私を支援してくださいね。

(ちなみに、未来を想像するだけではなく具現化に向けての動きもしていますからね。ご安心を)

その他

この他にも、チームの心理的安全性への取り組みや、チーム間やロール間の橋渡し的な役割を担ったり、リソース管理をしたりなど、やれることはなんでもやっています。
それもこれもチームメンバーの支援だと思って取り組んでいます。


つまり私は...

つまり私は組織のサーバントリーダーであるために、スクラムマスターという名前を借りている状況なのかもしれませんね。

今年11月に改定されたスクラムガイド2020版では、スクラムマスターは以下のように定義されるようになりました。

スクラムマスターは、スクラムガイドで定義されたスクラムを確立させることの結果に責任を持つ。スクラムマスターは、スクラムチームと組織において、スクラムの理論とプラティクスを全員に理解してもらえるよう支援することで、その責任を果たす。
スクラムマスターは、スクラムチームの有効性に責任を持つ。スクラムマスターは、スクラムチームがスクラムフレームワーク内でプラクティスを改善できるようにすることで、その責任を果たす。
スクラムマスターは、スクラムチームと、より大きな組織に奉仕する真のリーダーである。
(スクラムガイド2020:https://scrumguides.org/docs/scrumguide/v2020/2020-Scrum-Guide-Japanese.pdf

いよいよ私のスクラムマスター(という名前を借りたサーバントリーダー)としての動きが、公式に認められなくなったようにも受け止められる改定です。

もちろん、そりゃそうだよなぁと楽観的かつ真摯に受け止めています。

私がスクラムマスターを名乗らなくなる日が刻一刻と近づいてきているのかもしれません。

スクラムマスターを全うしないなら今すぐにスクラムマスターを名乗るのをやめろ!とスクラム界隈の人たちに怒られたら、速攻でこの名前は返上しようと思いますが、その際には私の仕事にふさわしい名前を考えていただけると助かります。

とは言っても、私の仕事を理解しているのは結局のところ私や私の周りのメンバーたちなので、自分で考えるべきなのでしょう。

つまるところ、私の大好きなコジコジの名言
「コジコジはコジコジだよ」しかり、
「私は私、私のしごとは私のしごと」ということなのかもしれませんね。(無理やり)


最後に

長々とまとまりがない文章となってしまいましたが、私は常にみんなを支援させてもらっていて、やりがいをもって本当に楽しくお仕事させてもらっていることが少しでも伝わっていれば幸いです。

少しでもうちの会社に興味を持っていただける方がいたら、ぜひうちの会社で一緒に働きませんか?

私が全力であなたを支援します!

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*1:アジャイルソフトウェア開発宣言:https://agilemanifesto.org/iso/ja/manifesto.html